2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ワイルドカード7巻 7月21日 午後6時

ジョージ・R・R・マーティン 午後6時 「Jesusジーザス(なんて面だ)」ディガーはそう言って、 「何があった?」そう声をかけてきた。 ジェイは後ろ手ドアを閉めつつ、リポーターを見下ろすと、 今では8インチ程になっていて、ここ数日で侏儒と 言っても通…

ワイルドカード7巻 7月21日 午後7時

ジョン・J・ミラー 午後7時 ブレナンは一人チッカディを見渡しながら途方に暮れていた。 ジェニファーは外で待っている。 どうにも興味をそそられないと言って中には入らなかったのだ。 ともあれバーに入って、タラモアを頼んだ。 そうして沈黙の内に佇みな…

ワイルドカード7巻 7月21日 午後10時

ジョージ・R・R・マーティン 午後10時 ディガーの言ったことで一つだけ確かなことがあるとしたら、 カーヒナと名乗る女性が最後に泊まったホテルがあるという ことだろうか。 ロビーでは年嵩のジョーカーが半ダースほどたむろしていて、 白黒画面のPhilco真…

ワイルドカード7巻 7月21日 午後11時

ジョン・J・ミラー 午後11時 マセリークがアパートに入って、リビングの灯りを つけようとスィッチに手をかけたその時だった。 闇の中に狩人の微かな人影があった。 「こういうかたちの訪問は褒められたもの じゃないわけだが……」 ソファーの上のブレナンは…

ワイルドカード7巻 7月22日 午前6時

ジョン・J・ミラー 金曜 1988年7月22日 午前6時 目覚め、ベッドの傍の椅子に座っていると、 身を捩ったジェニファーは、ブレナンがベッドに いないのに気づいて目を覚まし、欠伸をしつつ 寝ぼけた様子でもごもご何か呟いている。 そこでブレナンは「おは…

ワイルドカード7巻 7月22日 午前6時

ジョージ・R・R・マーティン 午前6時 「衣装バッグでしたらそのまま通ると思いますけど」 デルタチケットカウンターの女からそう言われ、 「申し訳ないのですが、ペットは検査が必要でしょうね」と 付け加えられて、「どうやらそのようだ」と幾分うんざり し…

ワイルドカード7巻 7月22日 午前9時

ジョン・J・ミラー 午前9時 Fulton street Docksフルトン・ストリート・ドックと そこに面した魚の加工工場は倉庫に囲まれたような かたちになっていて、過去を隠そうという人間には お誂え向きな場所に思える。 そんなことを考えていたブレナンに、 「フェ…

ワイルドカード7巻 7月22日 午前10時

ジョージ・R・R・マーティン 午前10時 「機内にないとはどういうことだ?」 「申し訳ございません」デルタの手荷物預かりの職員は ウォルドー・コスグローヴもかくやといった様子で 縮み上がりながらも、「20分後にラ・ガーディアから 到着する便がござい…

ワイルドカード7巻7月22日 午前10時

ジョン・J・ミラー 午前10時 「弓入れの中に手紙が入っているわよ」 毒蜥蜴を見るかのように手紙をみつめて吐き出された言葉に、 「何が入っているって?」ブレナンはそう返した。 「言伝の類だろうか?」 「そんなとこね」 そんな会話を交わした後、ブレ…

ワイルドカード7巻 7月22日 午前10時

ジョージ・R・R・マーティン 午前10時 呼び止められたのは、マリオット・マ―キスのロビィから 回転ドアをくぐって外に出たときだった。 「部屋の鍵を拝見させていただけませんか?」警備の人間と 思しき恰好をした黒い男がそう声をかけてきた。 言葉こそ丁…

ワイルドカード7月22日 午前11時

ジョン・J・ミラー 午前11時 ジョーカータウンとチャイナタウンの漠然とした境界線上に リンの骨董品店はある。 名店と称される店や高価なレストランに囲まれた場所にあり、 外から見るとそうは見えないが、中に入ると程よい格調が 保たれているようだ。 床…

ワイルドカード7巻 7月22日 正午

ジョージ・R・R・マーティン 正午 「何がどうなっているんだ?」 ジェイは思わずそう呟いていた。 打ちひしがれたジョーカーの姿がそこにあった。 その言葉に応えるものはなく、 耳を貸すものすら、いはしなかった。 数多のジョーカーがそこにいるが、 みな…

ワイルドカード7巻 7月22日 正午

ジョン・J・ミラー 正午 「どういう状況なわけ?」 ジェニファーがそう声をかけてきた。 「担がれた、ということかな……」 そう応えたブレナンの声は怒りをかみ殺したものだった。 「まんまと利用されたということだ」 「そうなの?」 そこでブレナンは顔を上…

ワイルドカード7巻 7月22日 午後1時

ジョージ・R・R・マーティン 午後1時 「そんな単純な話じゃないんだよ……」 ジェイが説明を終える前にハイラムがそう切りだしていて、 「どうだかな……」ジェイはそう言って、衣装バッグを開いて、 中のジャケットを見えるようにして、二人の間に横たわる テー…

ワイルドカード7巻 7月22日 午後1時

ジョン・J・ミラー 午後1時 「この文字に見覚えは?」 ビールの泡のかからないよう気を使って、 置いたメモをトライポッドに見えるようにし、 そう声をかけると、トライポッドはそれに 視線を向け、「ないね」と応え、それに ブレナンが「ならいい」と応えた…

ワイルドカード7巻 7月22日 午後3時

ジョージ・R・R・マーティン 午後3時 ドアの向こうから声が響いている。 どうやら叫んでいるようだ。 「すぐ戻ってくるかもね」 「今は相手がしていられないといっているんだ」 そう被せるように聞こえた声はハイラムのものだった。 そこでジェイが激しくド…

ワイルドカード7巻 7月22日 午後4時

ジョン・J・ミラー 午後4時 ミセス・スターフィンは幾分冷たく慇懃な様子で あるものの、それでも比較的丁寧に迎えてくれた。 お茶まで勧めてくれたのだ。 それは特に新しい情報も得られず、そこから出ようと したまさにその時だった。 突然電話が鳴って、ブ…

ワイルドカード7巻 7月22日 午後6時

ジョージ・R・R・マーティン 午後6時 雪の結晶より複雑で、きめの細かいレースより 繊細な模様がそこには表示されていた。 ジェイは顕微鏡の向こうのそのかたちを睨みながら、 「Jesus(なんて)」止めていた息を吐き出すかの ように「美しいんだ」と言い添…

ワイルドカード7巻 7月22日 午後7時

ジョン・J・ミラー 午後7時 「それだけだ」ブレナンは険しい表情で ジェニファーにそう言って、 「忍耐が試されたというところか」 そう言い添えたところだった。 フリーカーズの常連達が通る度にじろじろ 観られていて、10回目の辺りで、ブレナンが じろ…

ワイルドカード7巻 7月22日 午後7時

ジョージ・R・R・マーティン 午後7時 「あと少しだな」ハイラムはそう言って、 大きなため息を零しつつ長椅子の上で 身体を起こしていた。 そして室内のバーに向かい飲み物を 作って戻ってきた。 マリオットのタキオンのスイートにいて、 戻ってくるのを待ち…

ワイルドカード7巻 7月22日 午後7時

ジョン・J・ミラー 午後7時 どうやら蜥蜴と格闘するはめに陥ったらしい。 ブレナンがそう苦笑していると、 カントはじたばたといった無様な調子で、ブレナンの 目めがけて鉤爪上になった手を振り下ろしてきたが、 ブレナンは手でそれを受け止めると、空いた…

ワイルドカード7巻 7月22日 午後7時

ジョージ・R・R・マーティン 午後7時 「さてどうしたものか?」 ハイラムはタキオンが落ち着いたところを 見計らってそう声をかけていた。 「公表すべきだろう」ジェイがそう言葉を 被せると、「いけません!」タキオンが 顔を上げ、反射的にそう返されてい…

ワイルドカード7巻 7月22日 午後8時

ジョン・J・ミラー 午後8時 長い一日の果てに、ジェニファーは 疲れ果て眠っていたが、ブレナンは 眠れずにいた。 もちろんブレナンとて疲れてはいたの だが、頭ははっきりしたままで、休息の 必要なことがわかってはいるものの、 休めずにいたのだ。 そろり…

ワイルドカード7巻 7月23日

ジョージ・R・R・マーティン 午前8時 ……駆け足で歩いていたが、裸足で血も滲んでいて 黒いコートを着た巨体の男に追われている。 何か叫んでいるようだが、足のたてる音以外は何の 音も聞こえてこない。 そうこうしているうちに足元が狭くなっていき、 バラ…

ワイルドカード」7巻 7月23日 午前9時

ジョン・J・ミラー 午前9時 ブレナンが教会に入っていくと、丁度クオシマンが ジ*ザス・クライスト・ジョーカーの受難の姿が ステンドグラスで嵌め込まれた窓を拭いていたところだった。 そこで「おはよう」と声を掛け近づいていくと、 長い持ち手のついたs…

ワイルドカード7巻 7月23日 午前10時

ジョージ・R・R・マーティン 午前10時 這うようにシャワーに入ったところで 朝食が届いた。 それでタオルで体を拭いて、腹に包帯か 何かを巻くべきだろうか、と思いながら タキオンから拝借した服に袖を通した。 袖は短いは、ズボンから足首が2インチ 程…

ワイルドカード7巻 7月23日 午前10時

ジョン・J・ミラー 午前10時 パレスより半ブロックほど離れたところで、 ジェニファーを車から降ろし、別行動を とることにした。 烏賊神父が言っていた隣人と呼ばれている 連中に対して警戒したからだ。 ジェニファーには幽体状態で先に入ってもらい、 安…

ワイルドカード7巻 7月23日 午前10時

ジョージ・R・R・マーティン 午前10時 タキオンは目に見えてふらふらした様子で 寝室のドアを開け、中に入ってきた。 冷や汗をかいたようで、髪が額にはりついて いるのが見て取れた。 あまりにもひどい顔をしているものだから、 ブレーズでさえ、祖父の瞳…