ワイルドカードXV

             スティーブン・リー

 

ハンナの姿が見えなくなってから、グレッグはパペットマンを解き放った。

LEDの光が近くで明滅し、数字は容赦なく動いている。

 

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               0:59

 

 パペットマンは打ちひしがれ、指に繋がった糸は今にも擦り切れてしまい

そうになりながら、

 

何のつもりだ?

 

もはや誰に語りかけるでもなくそうぼやき、

 

逃げられたかもしれないじゃないかね

 

「そうやって生きてきたからね」

グレッグはその声に明白にそう応えていた。

「それもこれで終わる」

誰かが扉を叩き続ける音を耳にして、馴染みの感覚のように思い、

Nuke核を停止させる方法はないのだな?」

ブラッグドッグにそう投げかけ、

「そういうことか?」

そう言葉を継ぐと、仮面を被った顎がわずかに上下し、

頷いたことがわかった。

フィストの代表たるこの男は、なんとか意識は保っているものの、

傷は深く、失血もそうとうのものだ。

一瞬、パペットマンを使って、ブラッグ・ドッグに配線を引きちぎらせようと

思ったが、彼にはそんな力もないのがわかった。

 

もはやどうにもなるまい。

 

諦めきったパペットマンの視線を感じながらも、黄色いジョーカーの腕を

伸ばし、時限装置につながる配線の束を掴んで、

「誰の意思でもない、私自身の意思だ」そう呟いたところで、

超人的な力で、扉がはね飛ばされ、ビリー・レイの姿が視界に飛び込んできた。

「おい」ビリー・レイはそう叫んでいて、時限装置とグレッグの

姿を見つめていて、

「そういえば礼を言ったことはなかったね、ビリィ、それも勘弁してほしいものだが」

「これも追加にしといてくれないか」そう零すと同時に、

グレッグは時限装置につながった配線を引きちぎっていたのだ。