スティーブン・リー
ハンナの姿が見えなくなってから、グレッグはパペットマンを解き放った。
LEDの光が近くで明滅し、数字は容赦なく動いている。
1:00
0:59
パペットマンは打ちひしがれ、指に繋がった糸は今にも擦り切れてしまい
そうになりながら、
何のつもりだ?
もはや誰に語りかけるでもなくそうぼやき、
逃げられたかもしれないじゃないかね?
「そうやって生きてきたからね」
グレッグはその声に明白にそう応えていた。
「それもこれで終わる」
誰かが扉を叩き続ける音を耳にして、馴染みの感覚のように思い、
「Nuke核を停止させる方法はないのだな?」
ブラッグドッグにそう投げかけ、
「そういうことか?」
そう言葉を継ぐと、仮面を被った顎がわずかに上下し、
頷いたことがわかった。
フィストの代表たるこの男は、なんとか意識は保っているものの、
傷は深く、失血もそうとうのものだ。
一瞬、パペットマンを使って、ブラッグ・ドッグに配線を引きちぎらせようと
思ったが、彼にはそんな力もないのがわかった。
もはやどうにもなるまい。
諦めきったパペットマンの視線を感じながらも、黄色いジョーカーの腕を
伸ばし、時限装置につながる配線の束を掴んで、
「誰の意思でもない、私自身の意思だ」そう呟いたところで、
超人的な力で、扉がはね飛ばされ、ビリー・レイの姿が視界に飛び込んできた。
「おい」ビリー・レイはそう叫んでいて、時限装置とグレッグの
姿を見つめていて、
「そういえば礼を言ったことはなかったね、ビリィ、それも勘弁してほしいものだが」
「これも追加にしといてくれないか」そう零すと同時に、
グレッグは時限装置につながった配線を引きちぎっていたのだ。