2006-01-01から1年間の記事一覧

「ワイルドカード」4巻第7章

綾なす憎悪 パート2 スティーブン・リー 1986年12月9日 メキシコ わたしは今、チチェン・イツァーのジャガーの神殿、現地でいうところの<El Tempro De Los Jagauares>に立っています。 ユカタン半島の激烈な日の光に照らし出されたアーチの異様、2…

「ワイルドカード」4巻第6章 前編

From the journal of Xavier Desmond 〜 ザビア・デズモンドの日誌より 〜 G.R.R.マーティン 1986年 12月 8日 メキシコ今宵は定例の夕食会が催されていましたが、気鬱を口実に辞退させていただきました。 ホテルにこもり、くつろいでこの日誌を…

「ワイルドカード」4巻第6章 後編

From the journal of Xavier Desmond 〜 ザビア・デズモンドの日誌より 〜 G.R.R.マーティン 1986年 12月 8日 メキシコうとうとと早くから眠りに捕らわれ、夕食を終えてさんざめく人々の声で目を覚ましました。 悪くないどころか、上々の気分と…

「ワイルドカード」4巻第3章

From the journal of Xavier Desmond 〜 ザビア・デズモンドの日誌より 〜 G.R.R.マーティン 1986年 12月1日 ニューヨーク市旅立ちははじまりから不幸の香りがつきまとっていました。 トムリン空港の滑走路で足止めをくらい、乗機が離陸出来な…

ワイルドカード5巻第1章 第1節

死がいこう町・・・その名はジョーカータウンⅠ ジョン・J・ミラージョーカータウンの闇を音もたてずブレナンは進んでいく。 ブレナンが闇の一部なのか、闇がブレナンの一部なのか。 冷たさを増していく秋の大気がブレナンを思わせる。 ブレナンの前には青白…

ワイルドカード5巻第4章 おうさまのおうまも・・・Ⅱ

濃密で暗い水底から鬱々としたゴボゴボという音が響いてくる。 世界はねじくれ、回転し沈み込んでいるように思える。 弱りきって、目もかすみ、動くことすら適わない。 足の指先から凍りつくような感触が感じられ、その感触は次第次第に強まり上体へと這い上…

「ワイルドカード」4巻第2章 第2節

綾なす憎悪 パート1その2 スティーブン・リー 1986年12月1日 月曜日 ニューヨーク記者向けのレセプション会場は混乱を極めていた。 妻のエレンと随行員のジョン・ウェルテンはついてきていたが、クリス マスツリーの下で、グレッグ・ハートマン上院…

「ワイルドカード」4巻第7章

Blood Rights リーアン・C・ハーパーようやく煙の晴れた場所を見つけたはずなのだが、若きラカンダン・マヤはそこでも煙にまかれたように咳き込まざるおえなかった。 誰かが残って見張らなければならない。 そしてミルパの大地に供されたあとの灰を清める必…

「ワイルドカード」6巻第2章

ラッツ・アレイ<鼠小路>、そこは死者であろうとも、肋骨を奪われるような油断のならない小路だ。 そこにジョーカーズ・ワイルドがあった。 鼠のような連中のためにあつらわれたような場所、それがラッツ・アレイなのだ。 そこから出るものは、まっさらな煉…

ワイルドカード4巻第19章[zero hour]その1

ゼロ・アワー<ZERO HOUR> ルイス・シャイナー<Lewis Shiner>ショーウインドゥにピラミッド状に積み上げられたTVは、全て同じチャンネルに合わせてあり、そこには成田空港に降り立った747機が映し出されている、そしてその映像はディフォルメされたタ…

ワイルドカード4巻第19章[zero hour] その2

ゼロ・アワー<ZERO HOUR>ルイス・シャイナー<Lewis Shiner>日本には犯すべからざるエチケットとして、Ofuroオフロ(風呂桶)に入る際は、石鹸を洗い流してから、湯船につかることと、Tatami-matタタミマットに乗る際の靴の脱着がある。フォーチュネート…

「ワイルドカード」4巻第2章

綾なす憎悪 パート1 スティーブン・リー 1986年、12月1日 シリア バル・アラウィーの山々から、冷たく乾燥した風が、砂利がちなバディヤ・アッシャーム砂漠のラヴァ・ロックを超えて吹きつけてくる。 風は村々に密集したテントをカンヴァスにして様…

史上最強のエキスパートチーム、その名は・・・日記だ

コブラの協力者にして、武器商人である男デストロ、彼のもとにメンバーの一人、 スカーレットが捕らわれていることを知ったGIジョーチーム、現総司令官ジョ セフ・コルトンは負傷したジェネラル・ホークに変わってGIジョーチームの指揮 を引き受けた男で…

「ローファーム」、日記です。

昨日アメリカからコミック新刊が届いた。 マーベルもDCも歴史改変の危機、といった現状をふまえながら、しっかりと日常をも描いた作品「マンハンター」や「シーハルク」といった女弁護士を主人公とした作品が面白く興味深い。 とはいえその描き方は大幅に…

ワイルドカード4巻第1章

ザビア・デズモンドの日誌より 1986年11月30日私の名前はザビア・デズモンド、<ジョーカー>です。ジョーカー達は常に異邦人でした。 それは生まれた場所であったとしてもかわることはありません。 そんな寄る辺なき者の一人が、5ヶ月をかけて様々…