2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ワイルドカード6巻 その19

メリンダ・M・スノッドグラス 1988年7月18日 午後9時 「ジャクソンに票を投じて当選させるというのは如何なもの でしょう、別にこれは差別したいとかそういうつもりは・・・」 「差別でなくてなんだというんだね・・」 そういってタキオンの言葉を途…

ワイルドカード6巻 その20

ウォルトン・サイモンズ 1988年7月18日 午後11時 スペクターは髪の束を持ち上げ、鋏の歯を当てると・・・ 細く茶色い房が、薄汚れたシンクに落ちていく・・・ 学生時代から、髪は片手間に自分で切ってきた・・・ これでいい 皹の入った鏡を取り上げ…

ワイルドカード6巻 その21

第二章 1988年7月19日 午前8時 メリンダ・M・スノッドグラス昨晩は酒を過ごしすぎて正体をなくしていたのだろう・・・ 留守電にも気がつかなかったのだから・・・ 今は目もしっかり焦点を保っていて、頭のちかちかする感覚も 幾分落ち着いたように思…

ワイルドカード6巻 その22

1988年7月19日 午前8時 ヴィクター・ミラン 「ミズ・モーゲンスターン・・・」Braden Dullesブレーデン・デュレスの声がする。デュレスはセイラより若いが、State Voice<社説>担当を任されている・・・Ben Bradleeベン・ブラッドリーが有無を言わ…

ワイルドカード6巻 その23

メリンダ・M・スノッドグラス 1988年7月19日 午前9時スティーブン・リー 1988年7月21日 午前9時

ワイルドカード6巻 その24

スティーブン・リー 1988年7月19日 午前10時どうにもちゃんと眠れた気がしない・・・ 6時にエーミィに起こされスケジュールを つきつけられて・・・ それから7時にはPompanoポンパノのアンド リュー・ヤングと朝食を兼ねた会食をして、 7時45分に…

ワイルドカード6巻 その26

ヴィクター・ミラン 1988年7月19日 午前10時 ラガーディアのコンコースにいる大勢の乗客が・・・この色あせた黒いジャケットを身に着けた痩せぎすの若者が動けるようスペースを作った・・・汗のすえた匂いがするのみではない、あまり洗っていない身…

ワイルドカード6巻 その27

ウォルトン・サイモンズ 1988年7月19日 午前10時 機内の狭苦しい洗面所に立って、顔面から雫を 滴らせていると・・・ 胃はむかむかし、肌は凍えて・・・ 風呂場にいって、飛び込みたい気持ちにかられたが、 そうもいくまい・・・ そのまま飛び散ら…

ワイルドカード6巻 その28

スティーブン・リー 1988年7月19日 午前11時 別々のチャンネルを映した5台のテレビ画面が霞んで・・ リビングの一部屋を映し出した・・・ ハートマン陣営が、スタッフ本部にしているスイートだ・・ グレッグに近いテレビには、ダン・ラザーがウォルター…

ワイルドカード6巻 その29

ウォルトン・ウィリアムス 1988年7月19日 12時 正午 スペクターはリポーター風の男の後を追って、 洗面所に向かった・・・ なぜか人々はざわついており・・・ 追ってきたことにも気づかれていない・・・ もちろんこの男の名など知りはしないし・・・ 知ら…

ワイルドカード6巻 その30

スティ−ブン・リー 1988年7月19日 正午 それはいわばニューヨークのジョーカータウンを、アトランタに持ってきて 振り回し路上に地ぶまけたといった有様といえよう・・・ 大都市にはどこでも、小型のジョーカータウンとでもいうべき貧民街がつき もの…

ワイルドカード6巻 その31

ウォルトン・サイモンズ 1988年7月19日 午後1時 タクシーに乗ってからすでに1時間以上たつが・・ 空港からの渋滞は数珠繋ぎとなっていて・・・ バンパーをぶつけそうになった車同士がクラクションを 鳴らしあっているなか・・・ 歩行者・・ほとんど…

ワイルドカード6巻 その32

ジョージ・R・R・マーティン 1988年7月19日 午後1時 ハイラムはマリオットのスイートを借り切って宴を催している。グレッグも顔を出すし・・ニューヨークの代議士やその家族の顔も見える・・・煙草の吸殻にピザの空き箱が積みあがったかと思うと・・次…

ワイルドカード6巻 その33

スティーブン・リー 1988年7月19日 午後5時 グレッグは当然のことながら他の候補のほとんどをパペットにしている・・・ さほど難しいことではない・・・ 数秒触れるだけでそれはことたりる・・・ 名残を惜しむかのように握手をするだけでいいのだ・・ す…

ワイルドカード6巻 その34

メリンダ・M・スノッドグラス 1988年7月19日 午後6時 「私の育った場所では、招かれてもいない人間が当然のように席について いるなんてことはありませんでしたよ」 タキオンは7回目のpink Slip解雇通知から目をそむけつつポケットにしまいこんだ・・ …

ワイルドカード6巻 その35

ウォルター・ジョン・ウィリアムズ 1988年7月19日 午後8時筋ジストロフィーが何だって、ミズ・チャールズ、連中の浮動票の心配か?」 「Christ(この男ときたら)、!」 電話を通してそう響いてきたデヴォーンの声はいつもより無愛想に思える・・・ 「Je…

ワイルドカード6巻 その36

スティーブン・リー 1988年7月19日 午後9時 マリオットのロビーでビリー・レイに呼び止められた。 「上院議員、まだバーネットと話をする気をお持ちですか? レディ・ブラックからホテルに戻ったと伝えきているのですが・・」 なんて日だ エーミィにジョ…

ワイルドカード6巻 その37

メリンダ・M・スノッドグラス ジョージ・R・R・マーティン 1988年7月19日 午後9時 ブランデーが唇に沁みて・・・ ついうめき声を上げてしまった・・・ バーテンの女がにやにやしているのに悪態を浴びせそうになりながらも・・ 自分がどんな顔をしている…

ワイルドカード6巻 その38

ウォルトン・サイモンズ 1988年7月19日 午後11時 碌なことのない一日だったじゃないか・・・ スペクターは枕が二つ並べられたベッドの上で手足を伸ばし・・ 片手にTVのリモコン、もう片手にウィスキーのボトルを引っつかみ・・・ 就寝前の決まり文句の…

ワイルドカード6巻第三章 その1

メリンダ・M・スノッドグラス 1988年7月20日 午前7時 エンジンの奏でる重いつまびきが神経に堪えるの感じながらも・・ 飛行機の窓から広がる暗闇を見つけていたのだ・・・ seat companion客室乗務員がたち現れてタキオンにちょっかいを だすまでは・・ ス…

ワルドカード6巻第三章 その2

ウォルトン・サイモンズ 1988年7月20日 午前9時 席が空くまで45分ほど待たされた・・・ 店は繁盛しているようで、給仕の男が客の間を 行きかうさまはまるでピンボールの玉のようだ・・・ スペクターは椅子に身を押し込めるように座り・・・ 騒音には気…

ワイルドカード6巻第三章 その3

メリンダ・M・スノッドグラス 1988年7月20日 午前11時 Pew信徒席にもたれつつ、 上唇に滴る汗を味わっている。 そうすることで息のつまるような暑さが和らぐとでもいうかのように。 <Our Lady of Perpetual Misery永遠なる悲惨の聖母教会*>の 奥には4…

ワイルドカード6巻第三章 その4

ウォルトン・サイモンズ 1988年7月20日 午前11時 ファットマンに出くわして些か仰天したが、 ウィスキーをがぶ飲みしてなんとか気を静め、 ベッドの端に腰掛けて背中を丸めて広げた新聞の 一面に目をやると、 <ハートマン、本日パークで何を語るのか>と…

ワイルドカード6巻第三章 その5

メリンダ・M・スノッドグラス 1988年7月20日 午前12時正午 トロールが一人でクリサリスの棺を捧げ持っている。 彼はジョーカータウンクリニックの保安主任を務める巨漢の男であり、 赤子が眠るかのごとく揺れる棺は、 葬列と共に教会の裏手に向かい、 祈…

ワイルドカード6巻第三章その6

ウォルトン・サイモンズ 1988年7月20日 午後1時 ピードモント・パークは人いきれで溢れている・・・ スペクターが演壇に向かうには人ごみを突っ切っていかなければ ならなかったが・・・ 白黒のタイツに身を包んだ姿はかなり間抜けに見えるに違いない・…

その8

ヴィクター・ミラン 1988年7月20日 午後6時 廊下の突き当たりにあるドアの前に・・・ 背が高く痩せぎすの男が立っている・・・ コーヒーとクリームを混ぜたような褐色の肌の 男が・・・ 1531と標識のついたドアの前に立って・・・ ドアを閉め鍵をかけ…

その9

ウォルター・ジョン・ウィリアムズ 1988年7月20日 午後8時 スポットライトがジャックの目には眩しい・・ テレビの口角レンズに対してはショットガンの ように身体が身構えるようになっているのだ・・ そうしたステージに対する恐怖に取り込まれると …

1988年 7月20日 その10

ヴィクター・ミラン 1988年7月20日 午後10時ピーチツリーのタイルに音が反響しているように思えて ふらつく脚のまま腕にしがみついている・・・ セイラはワイン二杯で酔っ払ってしまった・・・ そういえばアルコールを口にするのものも久しぶりだ・・・ …

ワイルドカード6巻第三章 その12

メリンダ・M・スノッドグラス 1988年7月20日 午後11時 弦の上の指を下らせながら・・・ ヴァイオリンの調べにのせてため息を奏でている・・・ そうしていると私服警備員が胡乱な目つきを向けてきた・・・ タキオンが丁重に頷いて見せると・・・ 相手が誰…

1988年 7月20日 その11

スティーブン・リー 1988年7月20日 午後11時 獲物だ・・・ ねじくれ焼け付くような感情が近づいてくるのを感じ パペットマンが声を立てている・・・ それをグレッグが厄介に感じていると・・・ マッキィが壁をすりぬけて寝室に姿を現した・・・ 歪んだ…