2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ワイルドカード4巻「ザヴィア・デズモンドの日誌」パートⅩその1

G・R・R・マーティン 3月21日 ソウルへの途上にて 過去がわたしを追いかけてきたように思えたのです。 そんな想いがわたしのこころを蝕んでおりました。 二日前には彼の存在において思い返された事柄を押し殺し、 この日誌には綴らないと決めていたのです…

ワイルドカード4巻「ザヴィア・デズモンドの日誌」Ⅹその2

ザヴィア・デズモンドの日誌 G・R・R・マーティン まずはひどい話をすることをお許しいただきたい・・・ 老人でありジョーカーであるということは、歳月と奇形というものが同時に積み重ねっているといえ、それはそれでつらいのですが、一番つらいことは捨て…

ワイルドカード4巻「ザヴィア・デズモンドの日誌」ⅩⅠその1

ザヴィア・デズモンドの日誌 G・R・R・マーティン 4月10日 ストックホルムとてもくたびれています。 医者の断言したことを認めたくない・・ この旅が間違いであったなどと思いたくないのに、 身体がそれを裏づけてしまっているのです。 はじめの数ヶ月は…

ワイルドカード4巻「ザヴィア・デズモンドの日誌」ⅩⅠその2

ストックホルムという街は、これまでのどの街より過ごしやすく、スウェーデン人の多くは実際英語を話すため不自由もありませんし、今回は自由行動(もちろん厳しいスケジュールの合間においてではありますが)が認められています・・・ 王も我々すべてに対し…

ワイルドカード4巻「ザヴィア・デズモンドの日誌」ⅩⅡその1

ザヴィア・デズモンドの日誌 4月27日 大西洋上 数時間前には室内灯も消えました。 ほとんどのものたちは眠りに落ちているようですが、私は痛みゆえ目がさえたままです。 薬の助けを借りようと服用しましたが、それでも眠りに落ちることはできませんでした…

ワイルドカード4巻「ザヴィア・デズモンドの日誌」ⅩⅡその2最終章

テロも流血沙汰ももうたくさんですが。少なくともそれは無益なものではなかった、と信じたいものです。 我々の報告が衆目にさらされたならば、第三世界における、ジョーカーの苦境に対する関心も増す、というものでありましょうから。 個人レベルにおいても…

ティーポット

アンデルセン昔、ある所に自分は、磁器であり、その長い注ぎ口、たっぷりした もち手を自慢するティーポットがいました。 でも、ふたのことは口にしませんでした。 割れて、かすがいで塞いであったからです。 まわりの人は、ふたのことばかり話します。 言わ…