「ワイルドカード」4巻第7章

                        Blood Rights
                       リーアン・C・ハーパー

ようやく煙の晴れた場所を見つけたはずなのだが、若きラカンダン・マヤはそこでも煙にまかれたように咳き込まざるおえなかった。
誰かが残って見張らなければならない。
そしてミルパの大地に供されたあとの灰を清める必要があったのだ。
火の勢いも強く、煙の立ち込めた場所に戻らざるをえず、この時間には誰もが帰宅しており、目を覚ましていて気づく人間もいなかった。
蒸せるような熱気に息がつまる。