「ローファーム」、日記です。

昨日アメリカからコミック新刊が届いた。
マーベルもDCも歴史改変の危機、といった現状をふまえながら、しっかりと日常をも描いた作品「マンハンター」や「シーハルク」といった女弁護士を主人公とした作品が面白く興味深い。
とはいえその描き方は大幅に異なっている。
ガンマチェンジャーという腕輪で体内のガンマ線の制御が可能となり、変身前の小柄な姿でかけまわる<シーハルク>ことジェニファー・ウォルターズの、はつらつとした姿が新鮮ながら、そのひねりの効いたジョン・バーン、レン・カミンスキーから続く展開は、現ライター、ダン・スロットとなって衰えるどころかさらに切れをましている。
現在は超人対応法務局に勤める彼女のもとに珍妙な依頼が持ち込まれる、未来において自分が射殺されることをタイムマシンで知った男が、その自分を撃つはずの男を撃ったので正当防衛を証明して欲しいというのだ、その話を聞いたジェニファーは、彼のタイムマシンを利用して、昨年他界したあるヒーローの死を阻止しようと思い立つという荒唐無稽な展開、過去の判例はコミックショップで入手できるといったブラックな設定が色を添えた先月号を受けた展開がここでは詳細はふせるが小気味良く、意外なラストがさらに興味をそそり、一気に読者コーナーまで読了してしまった。次号は「サヴェッジ」「センセーショナル」と続いたシリーズの通算100号目にあたる記念号であり期待はつきない。

一方の「マンハンター」は、超人たちの犯罪に業を煮やした女弁護士ケイト・スペンサーが、犯罪者から押収した装備に身を包み、夜な夜な犯罪者達と闘い続け、処刑することも厭わない、そんな彼女には離婚した夫との間に一児がおり、夫に引き取られた息子と時に会い、彼女を気づかう息子の言葉や日常シーンが清涼剤とはなっているが、なぜ彼女がそこまでして自分を追いつめ、犯罪と闘い続けるかはまだ明らかにされていないながら、私はその毅然とした態度に魅了されてならない。
今月号において彼女の正体をつかんでいる女捜査官チェイスにこう語っている。
「信じないかもしれないが私は法律というものを愛しているわ、それに唾をかけ、血で汚し、歪めようとする輩が許せない、ただそれだけなの」と。
行き過ぎた殺しを辞さないヴィジランテズム(自警主義)は、人を救うというヒーローの根本とは相容れないものであり容認できるものではない、という立場を貫いてきたが、ぎりぎりまで自分を追い詰め日常を犠牲として闘い続ける彼女の不器用な姿からも、やはりまた当分目が離せそうにないようだ。

追記 同時に届いた「アヴェンジャーズ・アルティメット・ガイド」が「雷神ソー」の章で
始まりソーのイラストでしめる構成、要所要所に配された適切なベテラン名アーティストのイラストが目を引き、編者であり、雷神ソーの代理を努めたただの人間を主人公とした名作コミック「サンダーストライク」の原作者であるトム・ディファルコ氏の趣向が反映されていて実に楽しかった。
またコミック「ロボテック:プロローグ・オブ・シャドークロニクル」によると、米国で「ロボテック」の新作アニメの発売が予定されているとあり、米国ではリック・ハンターと呼ばれている一条輝のその後も描かれるようである、こちらも楽しみであり情報としてつけくわえておきたい。