「手繰られしものたち」その27〜29

マッキーは手の平をドアに打ちつけ続けた。
モルニヤはマッキーを見捨て、行ってしまったのだ・・・
胸が痛む、その痛みは耐えがたく・・・
手を振動させ、鋼鉄の扉を切り開いていた・・
ウルフはそこに立ち尽くしている・・
ウルフは彼を止めることができたが、
そうしなかったのだ・・・
それだけじゃない、マック・ザ・ナイフ、エースであるこの俺を他の連中が笑いものにするのを止めなかったじゃないか・・
この数週間、俺をかばってくれたのはモルニヤだけだった、モルニヤだけが支えだったのだ・・
それなのに行ってしまった、いてくれるはずだったのに・・・

嘆きの感情を内に抱き、ドアをゆっくりと放り投げ、そして振り返った、そこには・・・




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喜悦の感情が高まっていくのをパペットマンは感じている・・・
すべて順調に運んでいるではないか・・・
パペットがあのいたずら小僧どもを切り刻もうと、私が疑われることはない・・・
ここに座し、離れてブランデーのごとき芳醇な感情を味わうことができよう・・・

もはや危険の感覚は鈍いものとしか感じられはしない、
すでに状況はパペットマンがコントロールしているのだから・・・
あとは頃合を見て、マッキー・メッサーの始末をつけるだけでよいだろう・・・
そこでアネッケが立ち上がり、マッキーに嘲りにみちた言葉を投げかけた。
「あら泣きべそかいているのかしら、坊や、
あなたにも革命が必要なようね・・」
迷子の子犬のようにうなだれ、むせび泣いているが・・・その奥底に蠢くものは
消えてはいまい・・・
あとはパペットマンが糸を手繰り、引くだけでいいだろう・・・

そこでウルリッヒが言い放ったのだ・・・
「ジョーカーどもは行っちまったぜ、けつ野郎、醜いちびのお仲間と、どうして
一緒に行かなかったんだ」と・・・

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Krezbergクルツベルグだ」それはニューマンの声だった。

タキオンは椅子に崩れ落ちそうな衝撃を感じながらも、己の内に残った力を振り絞るように頭を振って応えた。
「その場所に何があると?」
もう10時を過ぎている、グレッグ・ハートマンはもう、その恐怖の感情を見透かすようにニューマンが笑みを浮かべて応えた。
「見つかったのですよ、かなり時間はかかりましたが、あのヴァンから足取りが摑めました、ベルリンの壁に面したトルコ人ゲットー、クルツベルグにやつらはいるようです・・」
その言葉にセイラは一瞬息を飲んだが、すぐに視線を向けてきた。
「アンチテロリストチーム、GSG−9を待機させています」そうニューマンが応えた。
「そのことは知られていないのでしょうね」
タキオンの脳裏には、交渉の失敗が思い起こされていたのだ。
「彼らはエキスパートです、1977年のヌール・アル・アッラーの民によるMogadishuモガディシュでの、ルフトハンザ737便ハイジャックの際に派遣されたのも彼らです、ハンス・ヨアヒム・リクターの手に事態が委ねられたのです、72年ミュンヘンでの虐殺の後に、テロリストと戦うために組織されたチーム、それがNinth Border Guards Group、通称GSG-9であり、リクターこそがそのリーダーで、ドイツではエースではないかと噂されており英雄視されている男です・・・
もちろんどんな力を秘めているかは誰も知らないわけですが・・・」
そこでタクが立ち上がり、言葉を被せた
「行こうじゃないか・・」と・・・