その4

ウォルター・ジョン・ウィリアムズ
午前10時

「バーネット師父をだしてくれ}
「どなたからだとお伝えいたしますか?」
強いスペイン訛りの声でそう訊ねられ・・・
「ジャック・ブローンだ・・・」と応えると・・・
「バーネット師父はどなたともお会いになりません、
ミスター・ブローン、祈りに入っておられますので・・」
「話があるんだよ」叫ぶようにしてそう言い募ると・・・
Sirそうおっしゃいましても・・・」
さも忍耐強いとでもいうかのようにそう呼びかけてきて・・
「バーネット師父はですね・・・」と言いかけたところに・・
「ともかく取り次いでもらえまいか・・・」
そこで一旦言葉を切ってから言葉を継いでいた・・・
「カリフォルニアでの得票に係る話だ・・・」
そう伝えると、わずかな沈黙の後に・・・
「それではとりあえずミス・ヴァン・レンスラーに
お繋ぎいたします・・・」と返されてきた・・・
そこで口に出された名に、二日酔いに似た感覚を感じ
つつ・・・
あの牧師に近づけるならそれぐらいなんでもないか・・
と己に言い聞かせながら・・・