ワイルドカード7巻 7月19日 午後2時

        1988年7月19日
          午後2時


        ジョン・J・ミラー


ストーニィ・ブルック、
メモにそう記されていた場所、ストーニィ・ブルックはサフォーク群
ロング・アイランドにある小さな郊外の街だ。
レンタルしたToyota日本車の給油に立ち寄ってグレンホロウに
行く道を聞いた時に、たまたま耳にした地名であることを覚えて
いたのだ。
確かLong island Soundロング・アイランド水道の隣では
なかっただろうか、
そうして彷徨っているうちに民家のまばらな集落に差し掛かり、
次第に鬱蒼とした森林が幅をきかけせているようだった。
道に面したところでも数件の家しかなく、
視界一杯に広がる曲がりくねった悪路を辿りながら、8800番地を
探していたが、どうやら通りすぎたのではないかと考え、
8880番地と記された郵便受けの横で一旦車を停めて辺りを見回して
みたが存在しない通りを探しているように思えて、
用心しつつ3ポイントターンで方向転換し、元の道を引き返し、
今度はゆっくり進んで、8700番を通り過ぎたところで、その番地と
思しい辺りを見つけることができた。
ナンバーが振られていないがここに違いあるまい。
そこでブレナンは可能な限り道をふさがないように配慮して脇に車を
寄せ、そこに停車して車をでて、トランクから弓入れを取り出して
辺りを見回して、車がきていないことを確認してから弓入れを開いて、
慣れたてつきでcompound bow機械式複合弓を組み立てて、
ゆっくりとその弦を引いてみて肩が悲鳴をあげているのを感じたが、
その痛みを無視することにして、
顔全体をフードで覆い、道路脇の木の密集した辺りに滑り込んでいた。
狩人が森に帰ってきたのだ。