その2

     ウォリター・ジョン・ウィリアムズ
          午前2時


ジャックは寝汗を感じて目を覚まし、薄いホテルの枕を
下に敷いて腰を下ろした・・・
それから半分あけたウィスキーのボトルを手にして、
キャメルもすでに二パック空けてしまっている。
TVもついたままで、ボリス・カーロフの出ている
恐怖映画が流れていて・・・
カーロフのその瞳を見つめていると、ジェームズ・
スペクターの目が思い起こされて・・・
リモコンに手を伸ばし、TVを消したが・・・
それでもまだあの視線がジャックを見つめているように
想えてベッドから降りてからTVの画面を壁に向けていた・・・
やらねばならないことはわかっていても、それを実行
できるかはまた別の話といえるだろう・・・
思えば常に、ミスター・ホームズやアールがいて、こうして
自分で判断することはなかったがそれで全てうまくいっていた
ものだが・・・
秘密のエースと呼んで差し支えないやつに二度も襲われて死に
かけたというのはどういうことだろうか・・・
三度目があれば、それは一つの人徳といえるかもしれない・・
少なくとも死に見放されているということはないという
ことになるか・・・
そう苦笑したのだった・・・