「手繰られしものたち」その33

充分な距離をとってアネッケの後ろに立っている、そうして肘まで挿しいれた手の振動を一端止めてから、刃を引くように抜きさった・・・
そうして迸った血が、ジャケットの袖を濡らしていくのをじっと眺めている・・・
その手にはアネッケの心臓が握られている、このまま壁をすり抜けてベッドまで行くのもしゃれてるかもと思われたが、間抜けにも思えてそいつはよすことにした。
そうしてそのまま脚を三歩進め、「Fuck You(じつに間抜けだ)」と声に出してから忍び笑いを洩らすと、手に握られた心臓が、最後に一度鼓動をうち動きを止めた。
そこで放置した死体同様に、そいつを放り投げて手を自由にし振り返ると、頬を震わせて立ち尽くしていたウルフが銃を向けているではないか・・・
そこで死体をウルフに向けて放り投げた・・・
ウルフはそれを撃ったが、笑いながら位相を変化させ、かわして見せる・・・
するとウルフは叫びとともに空になったマガジンを放り投げ、石膏臭い埃が部屋中に舞い、死んだアネッケの身体が、上院議員に覆いかぶさったかたちになった・・・
そうしてマッキーが位相を戻すと、ウルフは英語やドイツ語で、救いを求めるような叫びを上げている。
そこでウルフの手に握られたカラシニコフを払い落とし、ドアにウルフの身体を押し当てて、始末をつけることにした・・・
真ん中から真っ二つにして、頭を切り分けたのだ・・・