「手繰られしものたち」その24

ウルリッヒがその大きな拳を振り回して叫んだ。
「それでどうなったというんだ」
スツールに腰掛け膝に手を置いたウルフは、
目に見えて年老いて見える。
弁護士と活動家という二つの顔を使い分けてきた男ながら、今回のことはこたえたらしく、酸っぱいものでも含んだような表情を浮かべている・・・
「どういう意味だ、ウルリッヒ」弁護士の声で物憂げにこたえた。
ウルリッヒは怒りを顕わに返した。
時報を聞いただろう、もうすぐ最終期限の十時だ、それなのに連中は何の返答も返してきてはいない」
そう言ってAKMを持ち上げて、部屋中をうろうろし始めた。
「もうSon of a bitchこの野郎を殺していいんじゃないか?」
アネッケが鈴の鳴るような笑い声を立てた。

ウルフが腕時計に目をやりながら、コートのすそを引きずりながら歩き回りはじめた・・・
「どうかしたのはあんたらの方じゃないのか、アネッケかウィルフリードが連中がお手軽に言うところの対策本部に電話して、少し事態をかきまわしてやればいいのさ、
待つのにはあきたと・・・」
いつまで続くのだろうか
モルニヤは叫んでいた
No(もうたくさんだ)」と・・・